名古屋地学会 南極の片麻岩
実は,勤務校に「南極の石」と言い伝えのある,10Kg近い岩塊がある。
含ざくろ石片麻岩であることは一目瞭然だが,本当に南極の石かいなかは定かでない。いつも第2理科室に展示し,いつでも生徒がさわれるようにはしてあるのだが,変成岩はカリキュラムからはずれているので,特にコメントなどいれずに放置してあった。
しかし,後10ヶ月で本校を去ることになるので,どうしても真偽のほどを知りたく,では,我が大将にお出ましいただくしかない,と4月に,かれこれ23年ぶりにお電話した。
元愛知教育大学学長 仲井豊先生が私の大将であります。岩石学の大家にして,第19次日本南極地域観測隊隊員(1977)でもあられるのです。
すると,今日行われる名古屋地学会に持ってきてくださいとのこと。ただし場所や開始時刻などは不明とのこと。そこで,旧友の某小学校教頭 Y氏に,場所と時間を聞く。
「入れ。」 ご命令であります。はいはい あんたの命令となればいやおうなしですわね。
で,10kgにもなろうという岩石をゴロゴロに載せて,名大内をえっちらおっちら。もう迷路状態で,途中学生さんやら図書館員さんに場所を尋ねつつ,やっと会場に到着。結構時間のゆとりを持ってでてきたつもりが,開会前20分だった。Y氏 H氏 としばし 話をし,入会の手続き。お,なつかしい重人先生もお見えだ。相変わらずかくしゃくとしていらっしゃる。
しばらくして,仲井先生がいらっしゃった。仲井研院生第1号にして,教育大院生で採用試験不合格第1号の私を,付属高校講師として紹介いただき,もぐりの学生を1年やらせていただいて,院生から数えて2年あまり,3千万円の分析器を使わせていただいてから,はや25年もたとうとしている。
就職前に,「ぜひペーパーを出しなさい。」と薦められながらも,能力の低さゆえ,日々の授業準備や部活にかまけて,結局出せずじまいだったことは未だに慙愧の念に耐えない。
先生は,当時とぜんぜん変わらないご様子。こちらは総白髪なのに。
で,問題の岩塊を見ていただく。
「まず,間違いないでしょう。昭和基地周辺に見られる片麻岩と同様です。」とのことでした。お話によると,表面の凹凸は,風食によるもので,氷河によって運ばれたものではなく,地表面に露出していた露頭から取り出したものでしょう。第40次隊までは,基地周辺に,岩石を「お土産」として取り出してよいとされる場所が設定してあったが,41次から原則科学調査以外の目的での持ち出しは禁止になったそうです。
うん,これはかなりのお宝ではないか。この10年あまりつっかえていた喉にささった骨が外れた気分である。
その後,総会,こちらは今日再加入なので,聞くだけ。
研究発表は4本
1本目は,高校生の発表予定だったが,その高校は今大変なことになっていたので,指導された先生が代理発表
2本目は,シリア・ユーフラテス河中中流域の地質
厳密に言えば地質は専門ではないが,一応基本は学部時代に学んでいるので,十分理解できる。三つ子の魂百までもだな。
とりわけ興味を持ったのは,アスファルトの存在。自噴した後だとするならば,地下にかなりの埋蔵量の原油がある可能性はないだろうか。シリアは石油の産出が少ないとのことだったが,探鉱が十分でないのかもしれない。
3本目は環境・太陽光発電について
おっと,どこからかいびきが聞こえるぞ。
でも,こんなことを思った。
① 太平洋上に,数km四方のメガフロートを浮かべ,フロート上には,太陽電池をずらっと並べる。風力発電用のペラも。でフロート下には,カゴを多数配置し,中にはカキなどの炭素固定生物を入れる。その上,フロートの底には,白色発光ダイオードを並べる。
あとは,発電した電力の一部を,フロート下部のダイオードに通電し,発光させ,カキの成長にあてる。
これで,発電・CO2の固定・食料としてのカキの生産。
一挙3得である。メガフロートは,技術的には実用段階にあるそうなので,結構いけるんじゃないか。国土の狭い日本でも,これで面積を稼ぐことが出来る。
あと,都会の高層ビルの側面に,小型発電機を縦に並べる。高層ビルの間には,かなり強いビル風が恒常的に吹いている,このいわゆるビル風を利用するのだ。
などと妄想
最後に,鈴木重人先生の 鉱物内の水について
もう,大爆笑である。32年も前に,先生の鉱物学の講義を聞いた当時とまったく変わらず,豪放磊落。しかして,ポイントは外さず。粘土鉱物は,水の有無・量比によって,異なる鉱物になるわけだが,採集・保管する場合は,十分にそれを配慮しなければならないというお話。学者が陥りやすい罠だな。花崗岩の歌,物にしよう。
そうそう鉱物学といえば,当時重人先生の講義は,一般的な造岩鉱物の光学特性から,ルチルに渡って,半期行われた。
で,そのテスト。しっかり復習し,鉱物学の教科書もよく読みなおし,これでばっちりと臨んだ,そのテストのお題は「氷砂糖の光学特性を記せ。」
えええええそりゃないよ。氷砂糖って造岩鉱物じゃないし,15時間の講義の中で,5分程度ちらっとお話されただけじゃない。
と,いっても後の祭り。「氷砂糖はさておき,ルチルは・・・・」と書き出して,悪あがきをしてみた。結果は見事なCだ。
前の方の席でカンニングしていたやつもいたが,中のよかった同級生のほとんどが撃沈された。「授業は,集中してどんな小さなことも吸収せよ。」ということを学んだ一撃だった。この講義とテストを一年のときに受けたことは,その後に大変役立っている。
会が終わり,皆さんニ次会へ。自分は息子が待っているので,後ろ髪引かれながらも帰宅の途へ。重い石をゴロゴロ運び,沢先生の案内で名大を出た。沢先生もあと2年で退官。月日の流れは早いものだ。今度,大学の40cm反射望遠鏡を使った観望会に来たらとお誘いを受けた。息子とともにぜひ出かけてみよう。
南極の石を見てみたいと思う方,ありましたらメールください。
現物は学校にありますので,案内します。手にとってなめてもらってもかまいませんよ(^_^.)
あと気になったのが,現役の学生や若手研究者らしき人がほとんどいなかったこと。現役の小中教師は忙しいからしかたないと思うが,自分が学部・院生時にここに所属していたときは,もう少し若い人がいたように思うのだが。
数人,先生の引率で高校生が来ていたが,寂しい限りである。やっぱ地学は斜陽なのかな。まだまだ分かってないこといっぱいあるし,化学や物理のように,莫大な資金や高価な装置なしでも,いっぱい新たな発見ができるだろうに。何せ「気力体力地質学」だもの。
次回は,蔵書リストを持って参上し,高校生に学術書を押し付けてみよう。結局,大学図書館・緑図書館からは断られ,豊橋自然史博物館・鳳来寺科学博物館からは「検討します。」の返事以来なしのつぶて。
結局,連絡がついたのは,5月5日に「第四紀」と「日本列島断層図」を寄贈した中津川鉱物博物館だけだった。
| 固定リンク

コメント